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雨水ネットワーク会議 全国大会

第2回 雨水ネットワーク会議 全国大会in福岡

九州 雨/天/海(あま)ほめ祭り ~雨水ライフ、雨水Like~

開催日:2013年 8月6日・7日
会場:福岡大学

開催趣旨

福岡市内の余印で有名な志賀島には、海の民が祭る志賀海神社がある。この神社では「あーらいい山しげった山」と3度、山を称える山ほめ祭りが行われている。海の民が山をほめる。なんとすばらしい祭りではないか。雨は天から降って、山野、田畑、街を潤し、川を通って海に至る。海の水は蒸発し天に戻っていく。よく考えてみれば天も雨も海も、いずれも大和言葉では、あまと発音する語源を同じくする言葉なのである。昔の人は、天-雨-海の水循環を言葉として表現していたのである。

雨水ネットワークの活動は、このような水循環の一部を人が知恵を絞り、うまく活用して、洪水や渇水に強く、緑豊かで生き物の息吹が聞こえる、そういった地域をみんなで協力して作ろうという活動である。この活動の原点は天雨海という水循環に感謝し、その恵みを喜ぶというところにある。そういったことから、今年のテーマは「九州あま(天-雨-海)ほめ祭り、雨水ライフ、雨水like」 とした。

雨水に関心を持つ人々が福岡に集い、全国の最新情報や九州のユニークな活動、情報を共有し、議論し、それぞれの地域の活動に展開されることを期待している。また、この会議を契機に九州における雨水ネットワークが形成されることを、本会議の目標にしたい。

大会宣言

九州宣言

ここ福岡の志賀海神社(しかうみじんじゃ)では海の民が山を称える山誉め祭り(やまほめまつり)が行われている。海の民が山を誉める。何とすばらしいことではないか。雨は天から降って、山野、田畑、街を潤し、。川を通って海に至り、海の水は蒸発し天に戻っていく。古来、日本では天も雨も海も同じく「あま」と発音する。私たちの祖先は昔から、水の循環を知り、水の循環に感謝してきたのである。

福岡において、雨水を活かし循環する社会の実現を目指し活動する全国の市民、企業、行政および研究者などが集まり、第2回雨水ネットワーク会議全国大会を開催した。2日聞にわたり、日本および韓国の様々な雨水の貯留、浸透および利用に関する情報や取り組みについて知恵を持ち寄り、学び、さまざまな観点から雨水について話し合った。

21世紀は、地球温暖化の影響により地球規模で洪水と渇水の振幅が激しくなるといわれている。将来、大洪水や大干ばつが食糧危機を呼び、水と食をめぐる戦争が起こるという心配すらある。雨の危機管理は、今後の人類の持続可能な社会の発展の鍵を握っているといっても過言ではない。

また、都市化は、森林や水田などの保水・貯留・浸透域を減少させ、排水路網の設置や流域外からの導水によってさまざまな水循環の変化をもたらした。そのため、都市水害の発生、平常時の河川流量の減少、都市のヒートアイランド化、河川生態系の劣化などさまざまな問題が生じている。これらの問題を解決するためには、水循環システムの健全化がはかられるべきで、そのためには雨を貯留・浸透・利用する小さな実践のむ積み重ねが重要である。雨水の貯留と浸透は、洪水やヒートアイランド化の抑制につながる。貯留した雨水は自前の水資源としても利用でき、大地震の時には貴重な水源となる。雨水の積極的な地下浸透は、地域の健全な水循環系を形成し、地下水や湧き水を甦らせ、河川に豊かな流れを取り戻し、水辺に依存する多くの生物の生存を保障する。

しかし、これらを実行に移すためには、市民、行政、企業、研究者など、それぞれの関係主体が連携し、それぞれの立場で、地道にかっ積極的に活動を展開することが必要である。今回、私たちは雨水ネットワーク会議全国大会in福岡の場を通して、自然の恵みである水の貴重さ、美しさ、危うさについて学び、水の恵みに感謝することの大切さを共有した。そして、本来つながって一体であった水の循環を取り戻すことこそが解決をもたらすプロセスであり、その実現に雨水ネットワークが寄与する可能性に気づくにいたった。この可能性を信じ、未来に希望を抱く我々は、雨水を貯留・浸透・利用するための活動をさらに進展させ、次世代に引き継いで、ゆくことを決意し、以下のことを宣言する。

  1. 雨水に関する歴史・文化をi踏まえ、美じい景観や緑、食をちたらす恵みとして、雨水に感謝する思想を確立・普及する。
  2. 雨水に関する知恵を収集レ、それらを蓄積する場所を確保し、一般市民、子供たちおよび関係団体と広く発信する。
  3. 雨水を貯留・浸透・利用する活動は小さな実践の積み重ねが重要であることをとちに認識し、市民、行政、学界、企業が、パートナーシップに基づきそれぞれの立場において、できる範囲で着実に雨水に関する活動を実施する。
  4. 雨水を貯留・浸透・利用する技術およびそれらのシステム化、産業化について研究開発する。
  5. 雨水の貯留・浸透・利用を促進するための制度や社会システムを研究・構築する。
  6. 雨水の貯留・浸透の効果が把握できる試験サイトを確保し、実証する。

そして、この宣言を実行に移すため、九州|に雨水ネットワークを構築するとともに、今日ここに我々は行動を開始する。

平成21年8月7日

全国大会の概要・大会報告書については下記よりご覧頂けます。

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